現代バンドマンに知ってほしい5つの音楽的重要事項 その1「サブスク世代はどこにいる?」

1988年(昭和63年)生まれの僕はCD世代だ。ちなみにラスト昭和だ。同学年に幻の64年生まれがいる。 

まだカセットテープが流通していたのをギリギリ覚えている。 

その前にはレコードがあった。 

ウォークマン(ポータブル再生機)世代でもある。MDという四角いディスクにオススメの曲をセレクトして友達に貸し聴かせたりしていた。四角いディスク=円盤ってなかなか意味不明な言葉だけど、実物を見れば言いたいことは分かると思う。 

数年後には、iPodが爆発的に普及した。 
高校時代の僕はもちろんiPod、MDウォークマン、CDウォークマンという3つの最強アイテムをカバンに入れて登校していた。(今考えると気が狂っていると思う。) 

なんでも借りてパソコンに取り込む世代でもある。レンタルショップで借りて、友達から借りて、親や先輩から借りて、パソコンに取り込んだ音楽をCD-Rに焼く。そしてそのCD-Rをまた誰かに貸す。 
(焼くという言葉の意味がわからない人は、まつきあゆむのCDRキャンプファイヤを聴いても意味わからないと思う。) 

そう、この頃の音楽は無料で複製してシェアすることができた。 
音楽を売り物として販売していた人達からすれば、危機的な状況だったんだろうなと思う。(ファイル交換ソフトによる違法ダウンロード問題もこの頃だったな) 

そして今は「複製」する手間さえ必要なくなった。ネットワーク上に置いてある音楽を、ダウンロードせずにそのまま聴ける。ただし、手数料が必要になった。 

それがサブスクである。 

上記のような流行を終わらせたのがスマートフォンの普及だ。 
iPodのような機能はスマホに引き継がれた。 

そのスマートフォン向けに(日本では)2016年から本格的に始まった音楽配信サービスがサブスクリプション型音楽配信サービス。(Apple Music、LINE MUSIC、Spotifyなど) 
今後、2020年に向けて日本のマーケットでも「椎名林檎がサブスク解禁」みたいな感じのニュース記事が増え、そろそろサブスクやれよ!という圧力をかけてくるでしょう。 

いよいよサブスク時代到来か? 
と、思ったら日本ではちょっと不思議な事態が起きていた。 

2019年の日本。 
音源を所有して音楽を聴くという若い音楽ファンが多い気がするのだ。 

イベントに参加してくれた高校生から「サブスクは良くわかんないのでまだやってない」とか言われる。 

サブスク世代はいつになったら出てくるのか? 

たぶんそれは、他の選択肢が無くなった時だ。どんなに規模が小さくなっても、フィジカル音源の流通があるうちは、フィジカル音源をメインに活動するアーティストは一定数いるだろうと思う。 
(フィジカルとはCDやレコードなど実物がある音源のこと。データ音源の対義語。) 

順を追って説明したい。 
まず1つ、海外では案外すでにサブスク時代なのかもということ。 

2019年1月、A Boogie Wit Da Hoodieというウィキペディアの日本語ページが存在しないラッパーがビルボードチャートでアルバムセールス1位になった。 

このセールスのうち実売数が823件しかなかったことが話題になり、日本でもネットニュースとして取り上げられた。 

めっちゃサブスクですやん!(ていうか日本語ページ存在して!!) 

次に、日本の音楽業界はCDの販売すごく頑張ってるよー!という話。握手券とか、特典DVDとか、いろいろ頑張ってます!(CD売上にしがみついているとか言ってはいけない) 

頑張った結果、日本は世界で一番CDが売れている国になっているらしい。 
と言ってもCD売上自体は致命的なレベルで落ちていて今やメインの商材ではなくなってしまった。 

2010年、くるりの「僕の住んでいた街」はオリコン週間アルバムチャート史上「最も少ない枚数で1位を獲得したアルバム」という、あんまり嬉しくない記録を更新。売上枚数は20085枚だった。ちなみに歴代最高枚数は宇多田ヒカルの「Distance」で、枚数は約300万枚。 
2016年には、西野カナの「Just LOVE」がさらに記録を更新。売上枚数は9829枚。 

今のミュージシャンのメイン収入はコンサートチケット代だ。CDは印税で儲けるためのものではなく、ライブを楽しんでもらうためのグッズの1つとなっている。 

時代は変わったんだなー。 

そして忘れてはいけないこと、新品CDが滅ばなかったことで、中古市場も生き延びることになった。 
これは、新品CDが発売され続けるから必然的に中古品が発生するとかいう話ではない。 

大切なのは再生機器が生産され続けるということ。当たり前だけどCDプレーヤーが無いとCDはあまり意味を持たない。 

中古市場のためだけに家電メーカーは再生機器を製造しない。 
新品市場が、握手券やなんやらの裏技を使って生き残ってくれたから、媒体としてのCDの価値は保たれていると言えると思う。 

一度、世に出たけれど忘れ去られてしまった作品が、時が経ち再評価されたりすること。 
中古市場はそのきっかけになる。 

でもこの状況にもいつか終わりは来る。 
裏技はいつか使えなくなるし、 
リサイクルショップのCDコーナーは縮小され、ネット在庫として大量に投げ売りされている。 

え、ストロークスの2ndが300円!? 
すっごい名盤がワンコインで買えることが良くある。 

そしてCDがフィジカルの絶対王者ではなくなったからなのか、他の音源形態にも注目が集まっている。 
最近、レコードやカセットテープで新作出すバンドも出てきたし、本当に混沌としているなと思う。 
CD出してます。サブスクも始めました!今度アナログ盤(レコード)も発売します!みたいなバンドもいるし、データ配信のみで活動する宅録ミュージシャンみたいな人もいる。 

アーティストが様々なアウトプットのパターンを選ぶことができて、その手法も含めて表現活動として評価される時代が「今の音楽」なのかなと考えている。 

サブスク世代はどこにいる? 

海外に目を向けたり、ジャンルやアーティストを限定すればたぶんもう存在している。 
それで満足できるなら、それも良いと思う。 
だけどバンドマンとして本気で音楽をやりたいのなら、あまりお勧めはしない。 

だって他にも選択肢がたくさんあるのだから。 

サブスクリプションでは 
無制限に広がった音楽の歴史、そしてフィジカルを脱ぎ捨てた未来型の音楽を 

CDショップでは 
業界の生き残りをかけた入魂のオススメ新作を 

中古市場では 
忘れ去られた名盤との偶然の出会いを 

これらを全て体験できるのは、今インプットとして音楽を聴いている人間だけ。 

「サブスクわかんない」OK!OK! 
たくさん手段があるから迷うのは当たり前。 
今の世代は「いろいろ選べる世代」 

いろいろ選べる今の世代がこれから作り出す音楽ってどんなだろう? 
もしかしたら、世界的にサブスク化が進む中で、日本ならではのすごい音楽が作れるかもしれない。 

その音楽を、どのくらいの時期になるかわからないけれど音楽が完全にデータだけで扱われるようになった完全なサブスク世代が聴くはずだ。 

良い音楽を作ってほしい。

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